あの日の朝、東京・新宿の路上で倒れている女性が発見された。身元が「藤圭子」であると判明した瞬間、日本中に激震が走った。享年62。かつて「新宿の女」でデビューし、その新宿の地で人生の幕を閉じたという事実は、あまりにもドラマチックで、そしてあまりにも残酷だった。
警察の捜査により、事件性はなく自死であると断定された。しかし、世間が求めたのは「なぜ」という答えだった。遺書は残されておらず、彼女が最後に何を見て、何を考えていたのかは、誰にも分からない。ただ、彼女が最期に選んだ場所が、かつて自らの歌声で席巻した新宿の街であったことだけが、重い沈黙とともに残された。