指のトラブルの中で最も相談件数が多い疾患が、腱鞘と屈筋腱の摩擦によって生じるばね指(腱鞘炎)と、第1関節(DIP関節)の軟骨が摩耗するヘバーデン結節だ。どちらも発症初期は「何となく動かしにくい」「起床時に突っ張る」といった曖昧な違和感から始まるため、極めて見落とされやすい。
ばね指(腱鞘炎)の場合、進行すると指を曲げて伸ばそうとした瞬間にカクンと引っかかる「ばね現象」が生じ、激痛を伴う。一方、ヘバーデン結節は指の第1関節の背側が赤く腫れ上がり、やがて骨の棘(骨棘)が形成されて関節が曲がったまま固まってしまう。水ぶくれのような粘液嚢腫(ミューカスシスト)ができるのも特徴だ。
「手遅れになる前のセルフチェック」として、以下の項目を直ちに確認してほしい。
・朝、指がこわばり、スムーズにグーパー運動ができない
・指の付け根を押すと明確な圧痛がある
・第1関節が左右非対称に膨らみ、触れると熱感や痛みがある
・物をつまむ動作や雑巾を絞る動作で強い痛みが走る
・指を曲げた後、自分の力だけでまっすぐに伸ばせない
1つでも該当すれば、放置せず専門的な診察を受けるべきサインである。早期に対処すれば、関節の変形を食い止める選択肢が格段に広がる。