四姉妹が暮らした日本家屋のシーンは、映画の情感を決定づける核となった。縁側で梅酒の梅を突っついたり、柱に背丈を刻んだりする仕草は、演技を超えた本物の家族の時間そのものに見える。
撮影現場では、是枝監督ならではの特別な演出手法が取られていた。広瀬すずには台本を事前に渡さず、その場の空気と現場の指示で生の言葉を引き出す手法を徹底。さらに、綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆の3人は、クランクイン前から実際にあの家で掃除や料理を共に行い、手袋の干し方や座布団の位置ひとつに至るまで「長年暮らしてきた所作」を体に染み込ませたという。
現在、ロケ地となった古民家は個人所有の私有地として大切に保全されており、内部の一般公開は行われていない。しかし、その周辺に広がる街角の石垣や路地を眺めるだけで、縁側から聞こえてきそうな4人の笑い声が蘇る。