愛知県の高校野球を語る上で、「私学4強」という看板を外すことはできない。小松辰雄や、中日ドラゴンズで衝撃的なノーヒットノーランを達成した近藤真市など、投手の王国として球史に名を刻んできた背景には、享栄特有の「個の強さ」を引き出す風土があった。
しかし、甲子園への切符がたった1枚しか与えられない夏の県大会において、幾度となくライバルの壁に阻まれてきたのもまた事実だ。「享栄は強い、だが最後の一歩が届かない」――そんな歯がゆい評価が定着しかけていた時期もあった。だが、その悔しさは着実にチームの糧となり、現在の反撃へと繋がる強固なマグマとなって内部に蓄積されていたのである。