「熱はあるが、どうしても外せない会議がある」「自分が休むとプロジェクトが完全にストップしてしまう」――。こうした焦りや過度な責任感が、感染を隠して出勤する直接的な引き金になります。特に代替要員がいない属人化した業務を抱えている社員ほど、「周囲に迷惑をかけたくない」という思いが裏目に出て、感染隠しという誤った判断を下しがちです。
また、インフルエンザを隠す心理の根底には、人事評価への影響や職場内の空気に対する恐怖心も潜んでいます。病気欠勤によって査定が下がるのではないかという不安や、有給休暇の残日数を減らしたくないという経済的動機、さらには「熱くらいで休むな」という無言の同調圧力が、体調不良の申告を躊躇させる温床となっています。
さらに、「解熱剤を飲んで熱が下がったから大丈夫」という医学的根拠のない自己判断も感染拡大を後押しします。ウイルスは解熱後も体内に残存し、周囲へ排出され続けているにもかかわらず、表面上の症状だけで完治したと思い込む油断が、職場全体を巻き込むクラスター発生の要因となっています。