高野山奥の院を語るうえで根幹をなすのが「入定信仰(にゅうじょうしんこう)」です。承和2年(835年)3月21日、弘法大師・空海は62歳で永遠の瞑想に入りました。仏教用語における入定とは、単なる肉体の死ではなく、精神を極限まで研ぎ澄ませて生きたまま仏の境地にとどまり、未来仏である弥勒菩薩が56億7000万年後に現世へ降臨するその瞬間まで、すべての生命を救済するために祈り続ける行為を指します。
山内では現在も空海を過去の偉人としてではなく、「お大師さま」として現在進行形で仕える対象として敬っています。その最たる象徴が、最深部に位置する「弘法大師御廟」です。御廟前には静寂が漂い、日夜を問わず多くの巡礼者や参拝客が手を合わせ、お大師さまの霊気を感じ取っています。