ファンの間で長年語り草となってきたのが、同作者によるもう一つの傑作『おばけのてんぷら』との関連性だ。食べものを巡るおばけたちのユーモラスな攻防という共通項は、偶然の産物だったのか。
長年にわたり作品を世に送り出してきたポプラ社のアーカイブ室には、当時の編集者と作者の間で交わされた貴重な書簡が残されている。担当者によると、両作は別々の物語でありながら、根底にある「未知の味への好奇心」という共通のテーマで結ばれていたという。
出版業界において、半世紀近くにわたり版を重ね続けるロングセラーの誕生背景には、妥協なき絵作りの試行錯誤があった。フライパンの上で膨らむ生地の厚み、油で揚がる衣のサクサクとした質感。視覚から味覚や嗅覚を刺激する表現へのこだわりこそが、名作『おばけのホットケーキ』を唯一無二の存在たらしめている。