一方、次男の康治氏は、クリエイティブとブランドコミュニケーションの領域で世界的な脚光を浴びている。三菱商事でのキャリアを経て入社した康治氏は、ファーストリテイリングのコアフィロソフィーである「LifeWear」の思想を世界へ浸透させるキーマンだ。
康治氏のクリエイティビティを象徴する最大のプロジェクトが、渋谷区の公共トイレを世界的な建築家やデザイナーが刷新した「THE TOKYO TOILETプロジェクト」である。単なる社会貢献活動にとどまらず、康治氏はこれを起点として名匠ヴィム・ヴェンダース監督による映画『PERFECT DAYS』をプロデュースした。
主演の役所広司氏がカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞し、米アカデミー賞国際長編映画賞にもノミネートされたこの作品は、後にNetflixなどを通じて世界中に配信され、国際的なカルチャームーブメントを巻き起こした。服を売るだけでなく、日常の美学や豊かな生き方を提案する。康治氏が仕掛けるカルチャーとアートの融合は、UNIQLO(ユニクロ)のブランド価値を単なるファストファッションから唯一無二のグローバルブランドへと引き上げる原動力になっている。