忘れてはならないのが、奈良出身の世界的グラフィックデザイナー・田中一光の作品群だ。奈良県立美術館は国内屈指の田中一光コレクションを所蔵しており、その構成美は今なお色あせるどころか、デジタル時代を迎えた現代において一段と輝きを増している。
無駄を極限まで削ぎ落とした色彩配置。日本の伝統美意識である「間」を幾何学的に表現したポスター群の前に立つと、背筋がすっと伸びる感覚を覚える。グラフィックの原点であり到達点でもある彼の思考プロセスを辿る展示エリアは、クリエイターやデザインを学ぶ若者たちにとって聖地のような熱気を帯びている。