『魔女の宅急便』ウルスラの絵に隠されたモデル作品と制作の秘密

『魔女の宅急便』ウルスラの絵に隠されたモデル作品と制作の秘密

ウルスラ の 絵は、不朽の名作アニメーション映画『魔女の宅急便』の物語において、主人公キキが挫折を乗り越える重要なキーアイテムとして観客の心に強く刻まれている。画面いっぱいに描かれる力強いペガサスや不思議な動物たち、そして夜空を横切る奔放なタッチは、ファンタジー溢れる世界観の中でも際立った異彩を放つ。スタジオジブリの繊細な背景美術とは一線を画すあの独特な油絵調のグラフィックには、実は知られざる実在の原画が存在していた。

宮崎駿監督がスクリーンに映し出した、森の小屋で暮らす画家ウルスラとキキの深い交流。魔法の力を失い途方に暮れる少女に対して投げかけられる「描くこと」への真摯な問いかけは、クリエイターだけでなく観る者すべての胸を打つ。劇中で印象的に登場するウルスラ の 絵のルーツを辿ると、そこには東北の小さな養護学校で生まれた奇跡的なアートワークとの出合いと、制作陣の並々ならぬ熱量が隠されていた。

劇中で異彩を放つ「虹の上をとぶ船」とモデルとなった実在の絵画

劇中でウルスラがキャンバスに向かい、キキをモデルに加えることで完成させたあの巨大な作品。作中では明確な題名が明かされないが、公式には「虹の上をとぶ船」という美しい名がつけられている。夜空を翔ける天馬や、異国の鳥、ツノを持つ動物たちが力強い線で躍動する表現は、観る者の想像力を否応なしに掻き立てる。

この衝撃的なグラフィックの元となったのは、八戸市立八戸養護学校(現・八戸市立八戸高等支援学校)の児童・生徒たちが制作した版画作品「虹の上をとぶ船 大空を飛ぶパラダイス」だ。1976年に制作されたこの共同制作の版画集を宮崎駿監督が偶然目にし、その溢れ出る生命力と純粋な創作エネルギーに深く感銘を受けたことから、映画への起用が決まったという。

八戸市立八戸養護学校の生徒たちが描いた版画作品の奇跡

生徒たちが一本の彫刻刀を握り、板に刻み込んだ線画は、大人の計算や既存の美術的アプローチを超えた圧倒的な情熱を宿していた。指導にあたった教師たちとともに作り上げられたその版画は、子どもたちの自由な想像力と感情がそのまま形になった唯一無二のアートだった。

スタジオジブリのスタッフは、この原画の持つ野性味とエネルギーをフィルム上に再現するため、細心の注意を払って背景画へと再構成した。原画の持つ力強さを殺さぬよう、ウルスラという孤高のアーティストが持つ荒削りでまっすぐなキャラクター性と完璧にシンクロさせた手法は、アニメーション制作における奇跡的なコラボレーションと言える。

中島 亮太
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中島 亮太

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。