「アレルギー検査を受けたが、スギもハウスダストもすべて陰性だった。それなのに急激にくしゃみと鼻水が出る」――こうしたケースで近年急増しているのが「血管運動性鼻炎」、通称寒暖差アレルギーです。
寒暖差アレルギーは、名前に「アレルギー」と付いているものの、免疫抗体(IgE抗体)が関与する疾患ではありません。鼻の粘膜にある無数の毛細血管は、外気環境に合わせて自律神経(交感神経と副交感神経)の働きで収縮・拡張を繰り返しています。しかし、およそ7℃以上の急激な気温差にさらされると自律神経の切り替え機能が追いつかず、鼻粘膜の血管が異常拡張して充血・浮腫を起こし、大量の水様性鼻汁と激しいくしゃみが引き起こされます。
暖かい屋内から極寒の屋外へ出た瞬間や、夏の猛烈な冷房が効いた部屋へ足を踏み入れた瞬間に鼻がムズムズするのは、まさにこの自律神経エラーが原因です。
さらに多くの人を苦しめるのが、起床直後にくしゃみが連鎖する「モーニングアタック」と呼ばれる現象です。これには明確な生体リズムと環境要因の重なりが存在します。
睡眠中は身体をリラックスさせる副交感神経が優位になっていますが、起床とともに覚醒を促す交感神経へと主導権がスイッチします。この自律神経の移行時間帯は鼻粘膜の血流コントロールが極めて不安定です。そこへ「温かい布団から冷たい室内へ出る温度差」や「就寝中に床付近に沈殿したハウスダストを起き上がった動作で吸い込むこと」が重なり、防波堤が決壊したように連続くしゃみが炸裂します。