現在、阿蘇カドリードミニオン内のチンパンジー学習の森で余生を過ごすパン君は、2026年の今も健在だ。人間の年齢に換算すれば40代前後の働き盛りにあたる。かつて見せた子どものような愛嬌ある表情から、群れを率いる堂々たる大人のオスの顔つきへと完全に変貌を遂げた。
体重は約60キロ前後に達し、太い腕と厚い胸板には野生本来の力強さがみなぎる。園のスタッフによる徹底した健康管理のもと、好物のフルーツや野菜を毎日平らげ、特設のやぐらやロープを軽快に行き来している。同世代のメスであるポコちゃんとともに、ゆったりとしたペースで流れる時間を謳歌するその姿に、かつての痛々しい事故の影は感じられない。