着床期から生理予定日前後にかけて現れる体調の変化は、一般に「妊娠超初期症状」と総称されます。医学的な確定診断名ではないものの、臨床現場のヒアリングや数多くの当事者の手記からは、ホルモン変動に伴ういくつかの顕著なパターンが浮き彫りになっています。
代表的な兆候として挙げられるのが、着床出血の時期と量、そして下腹部の感覚です。受精卵が子宮内膜へと侵入する際、内膜の微小な毛細血管を融解・穿通させるため、ごく少量の出血が生じることがあります。これが一般に「着床出血(着床時出血)」と呼ばれる現象です。発生時期は排卵後7〜10日目前後(生理予定日の数日前)に集中し、色は鮮血というよりも薄いピンク色や茶褐色のおりもの状であることが大半です。生理のように日を追って出血量が増えることはなく、下着やトイレットペーパーに微量が付着する程度で、1〜2日以内に自然消失するのが特徴です。
同時に語られることが多いのが、着床痛のチクチク感をはじめとする着床した時の下腹部痛です。「足の付け根が引っ張られるような感覚」「下腹部の片側だけが針でチクチクと刺されるような痛み」と表現されるケースが多く見られます。これは受精卵が潜り込む際の刺激に加え、妊娠初期に分泌が高まる「リラキシン」というホルモンが骨盤周辺の靭帯を緩め始めること、さらには子宮の急速な血流増加に伴う知覚過敏が関係していると考えられています。
さらに見逃せないのが、おりものの変化と特徴および全身症状です。通常、排卵期を過ぎるとおりものはプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響で白濁し、粘り気を帯びて量が減っていきます。しかし着床が成立すると、エストロゲンの高水準維持によって「水っぽくサラサラしたおりものが急激に増えた」「無臭に近い状態が続く」といった変化を自覚する女性が目立ちます。これに付随して、プロゲステロンの強力な催眠作用や体温上昇作用による着床時期の眠気とだるさ、胸の張り、胃のむかつきといった全身の倦怠感が現れ始めます。