このフレーズの正確な起源を特定するのは難しい。複数の情報源を照らし合わせると、2010年代後半から2020年代初頭にかけて、主に日本の匿名掲示板や動画共有サイトのコメント欄で散見されるようになったというのが定説だ。特に、ホラーゲームの実況プレイや、陰謀論を扱うスレッドで頻繁に使われたことが、拡散のきっかけとなった。
当初は、ゲーム内のキャラクターが「実は既に死亡している」というネタバレや、ストーリーの衝撃的な展開を指すための、いわゆる「ネタバレ防止」的な隠語として使われていた。しかし、その使い方はすぐに変容する。現実世界の事件や、社会の閉塞感を皮肉るためのレトリックとして流用されるようになったのだ。
「もうみんな殺されてる」という言葉が持つ、ある種の諦念とユーモアが混ざり合ったニュアンスが、SNS時代の共感を呼んだ。特に、コロナ禍における自粛生活や、将来への漠然とした不安を抱える若年層の間で、このフレーズは一種の合言葉のように機能した。誰もが「もう終わっている」という感覚を、この一言で表現できたのだ。
ミームとしての進化:パロディと二次創作
このフレーズは、単なるテキストとしてだけでなく、画像や動画と組み合わさることで、強力なミームへと進化した。例えば、何気ない日常の風景に「もうみんな殺されてる」というテロップを入れることで、その光景に不気味な意味を与える「シュール系」のパロディが大量に生成された。
また、特定のアニメや漫画のキャラクターがこのセリフを言っているかのようなコラ画像も人気を博した。こうした二次創作の広がりは、元の文脈から切り離されたフレーズが、さらに自由な解釈を許容することを示している。もはや、元の意味を知らなくても、このフレーズを使うことができるのだ。