術後経過において患者が最も油断し、かつ最大の危機を迎えるのが円錐切除術後の出血ピークと期間です。多くの外科手術では術直後から数日以内が出血のリスク期となりますが、円錐切除術は全く異なる治癒経過をたどります。
術後当日から術後3〜4日目までは、止血用ガーゼの抜去後に淡い血性のおりものや少量の出血が見られる程度で、むしろ「思ったより出血しない」と感じる方が大半です。しかし、真の危険地帯は術後7日〜14日目(術後1〜2週)に訪れます。切除創の表面を保護していた焼灼凝固層や血栓、人工的に形成された「かさぶた」が融解し、新しく形成されつつある未熟な肉芽組織から剥がれ落ちる(脱落する)時期に当たるためです。
このかさぶた脱落期に太い血管の断端が露出したり、咳やくしゃみ、力みによって急激な腹圧がかかったりすると、円錐切除術後の大量出血を引き起こします。医療現場の統計では、円錐切除術を受けた患者の約2〜5%に二次性の大量出血が発生すると報告されており、その大半がこの魔の2週目に集中しています。
対処法として知っておくべき基準は「生理2日目以上の鮮血」です。生理用ナプキンが1時間持たずに溢れるほどの出血や、レバー状の大きな凝血塊が連続して排出される場合は、自然止血を期待して待機してはいけません。創部からの動脈性出血が疑われるため、直ちに手術を実施した医療機関へ緊急連絡し、圧迫止血(タンポン充填)や局所焼灼、場合によっては緊急再縫合処置を受ける必要があります。