スーパーの出入り口付近という立地は、買い物客の五感を直撃する計算し尽くされた舞台です。夕刻、自動ドアが開いた瞬間に流れ込んでくる炭火の芳香とタレの焦げる匂いは、空腹の買い物客にとって抗いがたい引力を持っています。
地域密着の食品スーパー店頭で長年支持されている背景について、定期的に購入している生活者への聞き取りやSNS上のリアルな反響を調査すると、いくつかの共通した心理が浮かび上がってきます。
「スーパーの精肉売り場や惣菜コーナーにも焼き鳥は並んでいるけれど、竜鳳の車が来ている日はついこちらで買ってしまう。目の前の鉄板やグリルで職人さんが煙を上げながらタレを絡めているライブ感は、パック詰めのお惣菜では味わえない」(40代・主婦)
「夕方17時半を過ぎると仕事帰りの会社員や子連れのお母さんで3〜5組ほどの行列ができる。注文してから焼き直してくれるので熱々なのが最高。ただ、混んでいる時は15分から20分待つこともあるため、スーパーに入る前に注文票を書いて先払いを済ませ、買い物を終えてから商品を受け取るのが地元民の鉄則」(30代・会社員)
ネット上の口コミや目撃情報を見ても、「赤い軽トラを見かけるとパブロフの犬のように食べたくなって吸い寄せられる」「竜鳳の匂いは反則」といった声が数多く投稿されています。日常の買い物の延長線上に“専門店の焼き立て感”が自然に組み込まれている点が、数十年にわたり移動販売業界のトップランナーとして君臨し続ける所以です。