ネット上のマタニティ掲示板で頻繁に見受けられる危険な誤解が、「12週の壁を越えればもう何があっても大丈夫」という過信です。前述の通り流産率は劇的に低下しますが、統計上の数値がゼロになるわけではありません。特にこの時期に発生する母体のマイナートラブルには、注意深く見極めるべきサインが存在します。
妊娠12週前後に生じる出血や下腹部痛の原因として代表的なのが「絨毛膜下血腫」です。受精卵が子宮内膜に根を張り、胎盤を形成していく過程で子宮の血管が破綻し、子宮壁と胎嚢の間に血液の塊ができてしまう現象です。少量の茶褐色の出血や軽い張りであれば自宅安静で自然吸収されるケースがほとんどですが、鮮紅色の鮮血が出たり、生理痛を超える激しい下腹部痛を伴う場合は、絨毛膜羊膜炎や切迫流産へ移行するリスクを孕んでいます。
知っておくべき危険な受診サインは以下の通りです:
- ナプキンから溢れるほどの鮮紅色の出血や血の塊が排出されたとき
- 一定の間隔でギュューッと締め付けられるような周期的で強い下腹部痛
- 悪臭を伴う帯下(おりもの)や、37.5℃以上の発熱が続くとき
- つわりが消失したのと同時に、胸の張りや基礎体温の高温相が急激に崩れ去ったとき
「12週を過ぎたから平気だろう」と自己判断で様子を見ることは禁物です。異変を感じた際は、夜間や休日であっても迷わずかかりつけの産婦人科へ連絡し、指示を仰ぐ姿勢が母児を守る防波堤となります。