洋服店に並ぶTシャツが常に端正な四角形を保ち、胸元のプリントが綺麗に見えているのには、明確な構造上の理由があります。展示用として洗練されたショップ店員のたたみ方は、見た目の美しさだけでなく、作業時間を1枚あたり約5秒に短縮できる合理的な手順に基づいています。
この手法の核心は、「襟元と身頃の中心を結ぶ仮想の十字ライン」を意識することにあります。まずTシャツを表側を上にして平らに広げます。利き手で襟元のすぐ横(肩の縫い目から数センチ内側の点A)をつまみ、もう一方の手で点Aからまっすぐ下ろした身頃の中央(点B)をつまみます。そのまま点Aを持った手を点Bのライン上にある裾(点C)までクロスさせて持っていき、裾と一緒に点Aをつまみ直します。最後に両手を持ち上げて軽く空中でひと振りし、余った袖を裏側に折り込むだけで、一瞬にして完璧な長方形が完成します。
大手アパレルブランドの店舗運営マニュアルを手掛ける元リテールマネージャーは、取材に対して次のように証言しています。「店舗で1日に数百枚を整頓する現場では、無駄な摩擦を減らし、生地の重力バランスを利用して素早く畳む技術が不可欠です。この5秒技は慣れると生地を引っ張る余計な負荷がかからないため、型崩れを防ぎながらシワにならないTシャツのたたみ方として非常に合理的です」。