石段を上りきった先にある熊野那智大社、そして隣接する青岸渡寺。ユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の中核をなすこの聖地には、古くから全国より大勢の参詣客が押し寄せてきた。かつて熊野古道を歩み通した祈り人たちが、道中の無事を感謝して買い求めたのが門前町の名物土産だ。
特に青岸渡寺の三重塔と滝を背景に味わう焼き立ての餅菓子は格別である。薄い皮に包まれた上品な餡と、表面に塗られた芳醇な玄米粉の香りが漂い、散策で火照った体を優しく包み込む。由緒ある社寺の門前で手に入るお土産は、単なる食べ物ではなく、参詣の証でありご利益を持ち帰るような特別な意味合いを含んでいる。