新宮駅を語る上で、食文化の魅力を外すことはできない。ホームや駅前で長年愛されてきた食の代表格が「めはり寿司」だ。高菜の浅漬けで温かいご飯を包んだ素朴な郷土料理だが、目を見開くほど美味しいことからその名がついたとされる。かつて山仕事や漁の合間に食べられていたファストフードが、今や旅の大きな目的となっている。
さらに、脂の乗った秋サンマを塩引きにし、丸ごと一匹押し寿司にした「サンマ寿司」も絶品だ。黒潮の恵みと熊野の山々が育んだ食の知恵。列車を待つ短い時間の中で、地元の老舗店が作る手作りの味を頬張るひとときは、旅人にとって忘れがたい旅情となる。