高等教育にかける費用は、いまや数百万円から1千万円規模に達する。これだけの巨費を投じる以上、投資対効果(ROI)の視点を無視することは許されない。労働政策研究・研修機構などの各種統計を見れば、生涯賃金における大卒と高卒の格差は依然として数千万円単位で開いているのが現実だ。だが、この数字の「中身」を精査しなければならない。
大卒であっても、需要の薄い分野で専門性を培えなかった層の給与水準は伸び悩む。逆に、AIやロボティクス、高度医療技術を身につけた専門卒プレイヤーが、年収ベースで大卒総合職を軽く凌駕する逆転現象が現場では起きている。大学名という看板に寄りかかるのではなく、「市場から求められる希少なスキルをどこで獲得できるか」という冷徹な計算が、将来の豊かさを決定づける。