近年、北海道を襲う夏の猛暑は、北の大地の植生にも容赦ない変化をもたらしている。かつて冷涼な気候を好んでいた高山性の花々が早々に影を潜める中、富良野の現場では驚くべき適応のドラマが進行中だ。
「10年前なら春先にしか咲かなかった種類が、今や初夏まで花期を延ばしている。植物自体が新しい気候の波長に自らをチューニングしているかのようだ」。長年現地で管理に携わるシニアガーデナーは、芽吹き始めたカンパニュラの葉を愛おしそうに撫でながらそう語る。
季節ごとに表情を変える450種類以上の花々は、もはや単なる鑑賞対象ではない。地球温暖化の最前線でたくましく生き抜く生命のタフネスを伝える、生きたドキュメンタリーそのものだ。