空間の視覚化は、地下の経済構造にも激変をもたらしている。これまで「人通りの少ない裏通路」として賃料が安かった地下端の店舗に、空前のスポットライトが当たり始めた。
歩行者の現在地や移動速度、目的地までの余裕時間に応じて、数メートル先のカフェの空席情報や割引クーポンをプッシュ通知する機能が稼働している。地上の一等地店舗に偏っていた集客の波が、地下の隅々にまでスムーズに波及する。通路の角を一曲がった場所にある創業数十年の老舗喫茶店が、突然若者や外国人で満席になる。移動データの可視化が、都市の商業地図をダイナミックに塗り替えつつあるのだ。