日本国内におけるムスリム人口は、早稲田大学名誉教授の店田廣文氏らの調査によると、2000年代初頭の約3万人から急増し、現在は約23万人以上(うち日本国籍保持者は約5万人)に達していると推計されています。技能実習生や特定技能外国人、ITエンジニア、留学生など東南アジアや南アジアからの来日が増えたことで、全国各地でモスク(礼拝所)の数が130箇所以上に増加しました。
これに伴い、日本国内でもイスラム教徒との摩擦に関するニュースが相次いで報じられています。その最たる例が「土葬墓地の不足問題」です。
イスラム教の教義では身体の復活を信じるため火葬が厳格に禁じられていますが、日本の火葬率は99.9%以上であり、公営・民営を問わず多くの墓地が条例や規約で土葬を禁止しています。大分県日出町では、別府ムスリム教会が計画した土葬墓地の建設を巡り、周辺住民から「水源汚染への不安」「風評被害」を懸念する激しい反対運動が起き、町議会への請願合戦に発展しました。
地元自治体の担当者は取材に対し、次のように現場の苦悩を語っています。
「法的には墓地埋葬法で土葬自体は禁止されていませんが、水資源を守りたい地元農家の切実な感情や、長年の埋葬文化とのギャップは行政手続きだけで簡単に埋められるものではありません。信仰への配慮と住民の生活防衛の板挟みになっています」(自治体関係者談)
また、埼玉県川口市や蕨市周辺における特定の外国人コミュニティを巡る騒乱報道や、モスク周辺での早朝・夜間の交通マナー、ゴミ出しルールを巡るトラブルなどがSNS上で過剰に増幅され、ネット空間では過激な排外主義的言説が飛び交う事態となっています。現場の住民からは「ルールを守って静かに暮らしているムスリムも多いが、一部の無秩序な行動が全体の不信感につながっている」という複雑な声が聞かれます。