聖徳太子といえば、同時に多くの人の言葉を聞き分けたという超人エピソードが有名だ。長年、これは後世に作られた神話だと片付けられてきた。しかし、近年の認知科学やコミュニケーション論の視点から、この伝説に新たな光が当てられている。
実際に十人の声を物理的に聞き分けたかどうかは別として、彼が「多様な人々の意見を吸い上げる卓越したファシリテーター」であったことは間違いない。身分の低い者の陳情にも耳を傾け、それを政策に反映させる。その驚異的な傾聴力と情報処理能力が、神格化されて語り継がれた結果が「十人聞き」の正体だったのではないだろうか。