結論から明かせば、貴乃花が特定の宗教団体に帰依したという公的な記録や確たる事実は一切存在しません。それにもかかわらず、検索窓に「貴乃花 宗教」という言葉が定着し続けた背景には、彼の特異な精神構造と当時のメディア報道の過熱が深く関係しています。
現役時代の花田光司は、単なるプロスポーツ選手という枠組みを遥かに超え、自らに極限の禁欲を課す求道者のごとき佇まいを見せていました。土俵上での妥協を許さない姿勢、発する言葉の独特な抽象性、そして周囲の利害関係に一切阿らない頑なさは、大衆にとって「何か強烈な信仰に突き動かされているのではないか」という奇異の念を抱かせるに十分でした。
この漠然とした疑惑が決定的な輪郭を持ったのが、1998年に列島を揺るがした「洗脳騒動」です。ひとりの民間療法士に全幅の信頼を寄せ、家族との対話を拒絶し始めた姿がテレビのワイドショーで連日連夜センセーショナルに報じられたことで、「貴乃花=洗脳=新興宗教」という図式が世間の深層心理に強烈に刷り込まれることとなりました。