頂点に立つための条件設定においても、両者の間には明確なハードルが築かれています。関脇・小結の力士が大関に挑む際、角界の慣例として重視されるのが大関昇進目安3場所33勝です。直近3場所を三役の地位で務め、かつ「11勝・11勝・11勝」や「10勝・11勝・12勝」といった安定した好成績を積み重ねることが求められます。ただし、数字さえ満たせば機械的に昇進できるわけではなく、相撲内容や相手力士のレベル、審判部の心証が強く影響します。
一方、横綱昇進の条件と基準は格段に跳ね上がります。日本相撲協会の諮問機関である「横綱審議委員会(横審)」が定める内規には、「大関の地位で2場所連続優勝、またはそれに準ずる成績を上げた力士」と明記されています。この「準ずる成績」を巡っては過去に幾度も大激論が交わされてきましたが、基本的には13勝2敗以上の優勝同点や、優勝に限りなく近いハイレベルな準優勝が最低ラインとなります。さらに横綱審議委員会の推薦内規では「力量抜群にして品格優等」であることが厳格に求められ、土俵上の強さのみならず、立ち合いの品格や私生活の言動まで審査対象となります。
昇進後の防衛戦でも、制度の違いが力士を追い詰めます。大関の陥落ルールとカド番は非常に具体的です。本場所で負け越す(7勝8敗以下または途中休場)と翌場所は「カド番」に指定され、その場所でも負け越せば即座に関脇へと陥落します。ただし救済措置として、関脇に転落した直後の場所で2桁(10勝)以上を挙げれば、翌場所すぐに大関へ復帰できる特例が存在します。
過去には栃東大裕や照ノ富士が陥落からの復活劇を演じ、近年でも霧島が令和6年5月場所に一度地位を失いながら、地道な這い上がりを経て令和8年5月場所に大関復帰を果たしました。対照的に、横綱にはこのような降格や復帰のルールは一切適用されません。