夜空に浮かぶ月が地球に及ぼす巨大な物理エネルギー、それが潮汐力(ちょうせきりょく)である。地球上の海面を持ち上げ、壮大な潮の満ち引きを引き起こすこの万有引力は、天文学の分野では極めて基本的な物理現象として解析されてきた。
一方で、生命の誕生を直接見つめる産婦人科学の領域でも、月潮周期への関心は途絶えることがない。月が太陽と直線状に並ぶ新月や満月の夜、海洋の潮位差は最大となる。この時、大気圧や重力バランスの極めて微細なゆらぎが女性の骨盤内血流や羊水圧にわずかな変化を与え、陣痛を促進するという仮説は、臨床現場の医師や助産師にとっても長年の関心事なのだ。