風が止み、波音だけが響く夕暮れ。国内のハイエンドな旅の風景が大きく変わろうとしている。かつて巨大なタワーや大型客室棟が主流だった高級ホテル・ラグジュアリーリゾート業界において、ここ数年の主役は明らかに「個」の空間へとシフトした。密を避け、本物の静寂を買い求める富裕層や上質な寛ぎを求める旅人が増えたことが、この潮流を加速させている。
デザインの潮流も興味深い。世界的な建築家である隈研吾氏をはじめとするトップクリエイターたちが手掛ける琉球モダン建築は、木材や琉球石灰岩といった地元の自然素材を巧みに取り入れ、土地の気候や風景と調和する。外観の美しさだけでなく、風の通り道や光の差す角度まで計算し尽くされた空間。そこにあるのは、豪奢な装飾ではなく、自然と対話するための贅沢だ。