ハイエンドな職人技と並び、日本の日常を支えてきたマスプロダクトの功績も極めて大きい。その象徴が、株式会社 明治が誇るアポロチョコレートである。1969年の月面着陸船を模した特徴的な三角形状は、子どもの手のひらに収まる気軽さでありながら、上下2層の成型技術という高度なエンジニアリングの結晶だ。
口に入れた瞬間、苺レイヤーの華やかな香味が先に立ち、時間差で下層のミルクチョコレートがまろやかに追いかける。この計算され尽くした時間差融解は、工業製品としてのチョコレート菓子におけるひとつの到達点と言える。近年では大人向けのビター仕立てや大粒タイプなど、時代ごとの嗜好変化に合わせたマイナーチェンジを怠らない姿勢こそが、半世紀以上にわたって国民的アイコンであり続ける所以だ。