ボディの傷補修において、付属のハケをそのまま使う職人は一人もいません。飛び石線傷の補修における最大の秘訣は、竹串や爪楊枝の先端を利用した点付け塗装テクニックにあります。
塗料皿やアルミホイルの上にタッチアップペンの塗料を少量出し、爪楊枝の先端にわずか「1滴の半分」ほどの塗料を乗せます。傷の溝へ塗料の表面張力を利用して「トントン」と塗料を落とし込むように配置していくと、毛細管現象で塗料が傷全体へ均一に広がります。
ここで極めて重要なのが、重ね塗りの乾燥時間の管理です。1回で傷を埋めようとせず、薄い層を何日もかけて積み重ねる必要があります。
【重ね塗りの工程管理基準】
- 1層ごとのインターバル:夏場で30分〜1時間、冬場は1.5時間〜2時間以上の指触乾燥を待つ。
- 塗布の厚み目安:元の塗装面よりも「わずかに凸状(0.1〜0.2ミリ程度)に盛り上がる」まで3〜4回塗り重ねる。
- 完全硬化までの養生期間:次工程の研磨に入るまで、最低でも1週間(約168時間)は完全乾燥させる。表面が乾いていても内部のシンナーが完全に抜けていない状態で研磨すると、塗膜が内部からヨレて再起不能になります。
パール・メタリック系カラーや濃色車の場合は、ベースカラーが乾燥した後にクリア塗装仕上げを施すことで、深みのある光沢と耐候性を確保できます。