古美術や骨董品のオークション市場において、桐箱は単なる梱包材ではありません。骨董品鑑定における桐箱の価値の真相を探ると、箱そのものが作品の真正性を証明するパスポートとして機能している実態が浮かび上がります。
特に重要視されるのが「共箱(ともばこ)」と「極め箱(きわめばこ)」の違いです。
共箱とは、作品を制作した作家本人が桐箱をあつらえ、自筆で表書きや署名・落款を施した箱を指します。一方の極め箱は、作家の死後や作者不詳の古美術品に対し、高名な鑑定家や茶道の家元、後継の作家が真贋を鑑定し、「この作品は間違いなく誰某の真作である」と箱書きしたものを意味します。
市場評価において、共箱の有無は致命的な差を生みます。例えば、人間国宝や名工の手による茶碗が本体のみ(裸の木箱なし)の場合、市場価格は共箱付きの3分の1から場合によっては10分の1以下まで急落することがあります。箱書きの筆跡や落款の印影自体が重要な鑑定基準となるため、桐箱を紛失したり汚損したりすることは、作品価値そのものを大きく損なう行為に直結します。