1960年代に入ると、デトロイトの小さな一軒家から世界を席巻するレーベルが誕生する。ベリー・ゴーディ・ジュニア率いるモータウン・レコードだ。キャッチーなメロディと洗練されたストリングスのアレンジを武器に、彼らは黒人音楽を全米のメインストリームへと押し上げた。ブロードウェイから映画化もされた映画『ドリームガールズ』のモチーフとなったシュプリームスをはじめ、数多のスターが誕生。なかでも幼少期から天才的な才能を発揮したスティーヴィー・ワンダーは、70年代に入るとシンセサイザーを大胆に導入し、社会的メッセージと高度なコード理論を融合させた不朽の名盤群を次々と世に送り出した。
そして80年代のシンセポップ期を経て、90年代後半には過度な商業主義へのカウンターとしてネオ・ソウルのムーブメントが巻き起こる。ディアンジェロやエリカ・バドゥらが提示した、生演奏の揺らぎ(レイドバック)とヒップホップ的な重いキックの融合。この有機的なサウンドデザインは、今なお現行のオルタナティブ・シーンに計り知れない影響を与え続けている。