捜査が進むにつれ、周囲の証言から男児の家庭事情が浮き彫りになってきた。実母との死別から数年、父親が新しいパートナーを家庭に迎えたのは、男児が姿を消すわずか半年前のことだった。新しい母親となる女性とその連れ子との同居生活。一見すると祝福されるべき「再出発」だったが、繊細な年齢を迎えていた男児にとって、その環境変化は決して容易なものではなかったようだ。
学校の担任教師や近隣住民は、再婚を境に男児の表情が少しずつ曇りがちになっていったことを記憶している。「一人で公園のベンチにぽつんと座っている姿をよく見かけた」「以前ほど笑わなくなった」。そう語る住民の声は重い。血のつながりのない新たな家族との間で、居場所を探しあぐねていた男児の孤独な姿が浮かび上がる。