巨費を投じてまで新たなタワーを建設しなければならなかった最大の理由は、地上デジタル放送への完全移行と都心の高層ビル化です。
2000年代以降、東京都心部では六本木ヒルズや汐留再開発など200m級の超高層ビルが次々と建設されました。これにより、333mの東京タワーからの電波がビル影に遮られ、受信障害が発生するリスクが急速に高まっていたのです。特に大災害時における確実な情報伝達インフラを確保するため、在京民放6社とNHKは「600m級の新タワー」の建設を強く要請しました。
計画の経緯を振り返ると、さいたま市や墨田区など複数候補地による激しい誘致合戦の末、2006年に東武鉄道所有の貨物駅跡地(墨田区押上・業平橋地区)が最終決定されました。2008年7月に着工し、2012年2月に竣工するまでの建設期間は約3年8か月。この間、日本の放送・通信を次世代へつなぐ絶対防衛ラインとして工事が進められました。