相模原市内で安全を確保する第一歩は、3つの区がまったく異なる気象ステージにある事実を受け入れることだ。独自観測網とメッシュ解析のデータを突き合わせると、行政区ごとの境界線で雨雲の振る舞いが驚くほど明瞭に分かれる瞬間が浮き彫りになる。
緑区は丹沢山地や秩父山系から流れ込む冷気の影響をダイレクトに受ける。夏場は山沿いで発生した上昇気流が発達した積乱雲となり、局地的なゲリラ豪雨を引き起こすホットスポットだ。冬場になれば、南岸低気圧が八丈島付近を通過する際、平野部が冷たい雨で済んでいるにもかかわらず、緑区西部の山間部では幹線道路を麻痺させる湿雪へと早変わりする。
一方で、南区や中央区は相模野台地の平坦な地形が広がり、都心からのヒートアイランド現象の影響が色濃い。夏の昼下がり、都心側から熱を帯びた南風が吹き込み、気温計が38度近くまで跳ね上がることもしばしばだ。ところが、そこへ緑区側から冷やされた下降気流が衝突した途端、逃げ場のない突風と激しい雷雨が発生する。Yahoo!天気・災害などの高解像度レーダー画面を監視していると、南区と緑区の境目あたりで雨雲が突如として爆発的に膨張する現象が頻繁に観測される。区単位で異なる気象情報を行動の指針に据えることは、すでに現代生活の必須防衛策といえる。