世界地図を東西に見渡すと、ユーラシア大陸を境界にして血液型のグラデーションが広がっていることに気付きます。西ヨーロッパから東アジアにかけて、明確な偏りとグラデーションが観察されます。
中央アジア・南アジアで「B型」が急増する背景
世界的に少数派であるはずのB型ですが、インドやバングラデシュ、モンゴルなどの中央アジア・南アジア地域では30〜40%と圧倒的な存在感を示します。感染症疫学の研究によると、かつてアジアから中東一帯で大流行を繰り返したコレラ菌に対し、O型の人間は重症化・脱水症状による死亡リスクが極めて高い一方、B型はコレラ毒素に対する抵抗性が高かったと報告されています。過酷な衛生環境下での生存において、B型の赤血球構造が強力なアドバンテージとして機能した結果と考えられています。
ヨーロッパが「A型優位」に傾いている理由
対照的に、ヨーロッパの血液型はA型の比率が高い傾向にあります。ドイツやフランス、スカンジナビア諸国ではA型が45%前後に達し、B型は10%を切ることが珍しくありません。この傾向は、農耕社会の定着やペスト(黒死病)の流行と関連付けて議論されるケースが多く見られます。ペスト菌の抗原構造に対して、どの血液型がより免疫応答を維持できたかという生存戦略の差が、数千年の時を経て大陸の血液型地図を描き出しました。
日本でA型が多い理由と「AB型」の希少性
日本人の比率(A型40%、O型30%、B型20%、AB型10%)は、縄文系ルーツ(O型・B型寄り)と、大陸から稲作技術を携えて渡来した弥生系ルーツ(A型優位)が高度に混ざり合った歴史的産物です。島国という地理的閉鎖性の中で適度に混血が進んだことで、世界的に見ても極めてバランスの取れた4配分が定着しました。
なお、世界で一番少ない血液型であるAB型は、A抗原とB抗原の双方を受け継ぐ必要がある遺伝的制約から、世界人口のわずか約4〜5%に過ぎません。日本国内の「10人に1人がAB型」という環境は、地球規模で見れば非常に遭遇率の高い特異な地域といえます。