いまSNSで数万件のリポストを叩き出している作品群を見ると、アイロンビーズの進化速度に息を呑む。もはやドット絵をプレートの上で平面的に再現する時代は終わった。
凹凸を計算して焼き上げたパーツを立体的に組み上げ、蝶番までビーズで再現した「実際に開閉する宝箱」。内部にミミックの牙がびっしりと並ぶ。あるいは、薄型のアクリルスタンドとLEDテープを仕込み、夜の闇に浮かび上がる「旅の扉」のルームランプ。透明度の異なるビーズを重ねることで、グラデーションの陰影を3次元で表現する立体彫刻。彼らは限られたドットという記号を使って、現実世界の空間をゲームの文法で侵略しているのだ。