遠赤外線の物理特性は、入浴施設や飲食の現場でも驚くべき価値を生み出しています。
遠赤外線サウナや岩盤浴の効能
一般的なドライサウナは90℃〜100℃前後の高温の空気を介して身体を加熱するため、息苦しさや心臓への急激な負担が伴います。対して、遠赤外線サウナや岩盤浴は60℃前後の低温設定が主流です。
空気を無理に熱くしなくても、壁面や鉱石から放射される電磁波(輻射熱)が直接人体へ届くため、呼吸器への負担を抑えながら皮脂腺からの良質な発汗を促します。「サウナの熱気で息が苦しくなるのが苦手」という人でも、長時間リラックスして深部体温を上げられる理由がここにあります。
遠赤外線調理がおいしい理由
「炭火で焼いた焼き鳥やステーキは、なぜガス火より格段に美味しく仕上がるのか」。この長年の疑問も、遠赤外線の熱伝導理論で論理的に説明がつきます。
都市ガスやプロパンガスを燃焼させると、化学反応によって大量の水蒸気が発生します。そのため、食材の表面が水蒸気に包まれ、どうしても湿気を帯びてしまいます。一方、炭火(特に備長炭)は燃焼時に水蒸気をほとんど出さず、極めて純度の高い遠赤外線を強力に放射します。
食材表面の糖やアミノ酸がメイラード反応を起こして瞬時にカリッと香ばしく固まり、内部の肉汁(うま味成分)を閉じ込めます。同時に、遠赤外線が食材内部の水分子を激しく振動させて中まで均一に熱を通すため、「外はパリッと香ばしく、中はふっくらジューシー」という理想の焼き上がりが実現するのです。