多くのファンが抱く「なぜタックルは女性仮面ライダー第1号として公式認定されなかったのか?」という疑問には、制作陣が貫いた明確な美学と時代背景が存在します。
東映の公式記録および当時のプロデューサー・平山亨氏の手記によると、原作者の石ノ森章太郎氏をはじめとするクリエイター陣には、「仮面ライダーは過酷な肉体改造と孤独な戦いの宿命を背負った存在であり、か弱い女性にその重荷を背負わせるべきではない」という強い信念がありました。そのため、名称も「仮面ライダータックル」ではなく、あくまで改造人間の種族名を表す「電波人間タックル」と名付けられた経緯があります。
劇中の戦闘能力においても、ストロンガーをサポートする「電波投げ」などの技は持ち合わせていたものの、単独で強力な怪人を倒す決定打には欠ける描写が一貫してなされていました。この「不完全な改造人間としての哀愁」と「パートナーとしての自立した関係性」こそが、彼女を仮面ライダーとは一線を画す唯一無二のヒロインへと押し上げた要因です。