ハッチの名を全世界のファンに永遠に刻みつけたのは、空座町決戦における第2十刃バラガン・ルイゼンバーンとの死闘だ。あらゆる物体や術式を急速に老化させ、風化・崩壊せしめる能力「死の吐息(レスピア)」。触れることすら叶わない「老衰の絶対王者」に対し、大前田希千代や砕蜂が追い詰められる中、ハッチは静かに戦場へと降り立った。
刀を振り回す肉弾戦ではなく、高度な概念と空間の切り取り。ハッチが展開したのは、物理法則すら拒絶する結界術の極致だった。「四獣塞門」をはじめとする重層的な結界で相手を閉じ込め、相手の攻撃パターンを冷静に分析する。感情に流されることなく、勝利のための唯一の解を導き出すその姿は、戦闘者というよりまさに「科学者」あるいは「哲学者」の趣であった。
決着の瞬間は、ジャンプ漫画史に残る屈指の逆転劇として知られる。「老衰」の力によって自らの右腕が侵食された瞬間、ハッチは躊躇なく自らの腕を結界で切り離し、それをバラガンの体内に直接転移させた。絶対的な「老い」の力を、その生み出し手自身に流し込む。相手の理不尽な絶対能力を逆手にとったこの幕切れは、力対力の力押しではなく、知恵と覚覚悟が勝利を掴む瞬間として世界中の読者を唸らせた。