この潮流を語る上で欠かせないのが、誌面を彩った異能の漫画家やイラストレーターたちだ。田亀源五郎や児雷也といった作家陣が生み出した圧倒的な筆致は、国内の枠組みを軽々と飛び越え、いまやグローバルなアートマーケットで正当な評価を獲得している。
2026年のアートフェアを覗けば、彼らの初期原稿や限定シルクスクリーンが、ファインアートの文脈で高額で取引されている光景に出くわす。筋肉の陰影、毛深さの描写、心理描写の重厚さ。それらはかつて「過激な成人向け表現」のラベルを貼られ、書店の奥底に追いやられていたものだ。
だが、批評眼は変わった。西洋のゲイ・アートが築き上げたトム・オブ・フィンランド的な古典的マッチョイズムとは似て非なる、日本特有の「哀愁」や「情念」を孕んだ男たちの造形。その唯一無二のオリジナリティが、現代の視覚文化論の俎上で再発見されている。