甘い話ばかりではない。サイトを開けば、100万円台、時には数十万円の格安物件が並ぶ。だが、築50年を超える木造家屋にそのまま住めるなどという幻想は捨てるべきだ。
雨漏りの跡はないか。床下はシロアリの被害に遭っていないか。汲み取り式トイレを水洗化するための下水道接続や浄化槽の設置には、それだけで百数十万円が軽々と消えていく。外観の風情に目を奪われ、見えないインフラの劣化を見落とせば、購入費用をはるかに上回る改修費に頭を抱えることになる。
それでも手に入れたいと思わせる魅力が、長門の家にはある。太い梁、美しい欄間、今では再現できない職人技の建具。DIYで漆喰を塗り、床を無垢材に張り替える作業を「苦労」ではなく「人生の醍醐味」として楽しめるタフさがあるかどうかが、勝者と敗者を分ける分水嶺だ。