短期記憶とは?数秒で消える脳の謎と物忘れを防ぐ最新科学アプローチ

短期記憶とは?数秒で消える脳の謎と物忘れを防ぐ最新科学アプローチ

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記憶の司令塔として知られる脳深部の器官が海馬です。タツノオトシゴのような形状をしたこの小さな部位は、耳の奥、大脳辺縁系の内側に位置し、日々押し寄せる情報の交通整理を一手に引き受けています。 外界から五感を通じて入力された情報は、大脳皮質を経由して海馬へと集約されます。この段階では、情報はまだ海馬内のシナプス間に一時的な電気信号のパターンとして留まっているに過ぎません。これがいわば短期記憶の生物学的実体です。 海馬には、この短期記憶を精査し、「生きるために不可欠な情報か」「感情を激しく揺さぶられた体験か」「何度も繰り返された重要事項か」を峻別する検問所の役割があります。海馬が必要と判断した情報だけが、大脳新皮質へと送り返され、長期増強(LTP:Long-Term Potentiation)と呼ばれるシナプスの構造的変化を伴って長期記憶へと移行します。 この情報転送の主戦場となるのが「睡眠」です。近年の睡眠科学が明かしたところによれば、深いノンレム睡眠中に海馬と大脳皮質の間で「シャープウェーブ・リップル(SWRs)」と呼ばれる高頻度の神経振動が発生し、日中に蓄積された短期記憶が高速でリプレイ(再生)されています。この夜間のオフライン処理によって、一時的な記憶が大脳の神経ネットワークへと編み直され、永久保存の形へと定着していきます。 したがって、睡眠時間を削ってインプットを詰め込む行為は、海馬から大脳新皮質への転送トラックを自ら止めるに等しい過誤といえます。

山下 哲也
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山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。