ネット上の英語解説や知恵袋などで頻繁に議論を巻き起こすのが、have beenとhave goneの違いです。旅行や出張の話題で致命的な誤解を生む定番の落とし穴として知られています。
両者の違いは、主語の「所在」がどこにあるかにあります。
- have been to 〜:「〜へ行ってきたところだ(完了)」または「〜へ行ったことがある(経験)」
語源的に「その場所に存在して、すでに帰着している」ことを意味します。話者は今、聞き手の目の前にいます。 - have gone to 〜:「〜へ行ってしまった(結果)」
「去ってしまった(gone)」状態をいま保持しているため、その人物はここにはおらず、移動先または移動中であることを意味します。
この規則から導き出される重要な事実があります。それは、「I have gone to America.」という文は、対面の英会話では原則として成立しないという点です。目の前にいる自分が「アメリカへ行ってしまっていま不在です」と宣言するのは論理的に破綻しているからです(※手紙の書き置きや留守電メッセージなどの特殊な状況を除く)。基本的には「He has gone to Paris.(彼はパリへ行ってしまった=今ここにはいない)」のように三人称を主語として用います。
また、米語と英語の地域差についても知っておく必要があります。近年のアメリカ英語口語では、「Did you eat yet?」のように、本来現在完了形が好まれる完了の意味を過去形で代用するケースが一般化しています。しかし、フォーマルなライティングや学術論文、イギリス英語圏においては依然として現在完了形の使用が規範とされています。国際共通語として正確なニュアンスを届けるためには、現在完了形の正確な制御が不可欠です。