阿部の全盛期を象徴するハイライトが、打率.340、27本塁打、104打点を叩き出し、巨人を日本一へ導いた2012年シーズンだ。首位打者と打点王の2冠を獲得し、あと本塁打4本で戦後捕手史上初の3冠王という歴史的偉業にまで迫った。リーグMVPをはじめ、ベストナイン、ゴールデングラブ賞を総なめにしたその姿は、打撃と守備を高次元で両立させた「完成形」だった。
重圧に耐え抜いた20代の苦闘が、30代を迎えて完全に開花した瞬間だった。相手バッテリーがどれほど警戒しようとも、甘い球を一撃で仕留める威圧感。そして配球を読み切って投手をリードする老獪さ。かつてマウンドで大先輩たちに怒鳴られていた青年は、いつの間にか日本中から敬意を払われる絶対的な「巨人軍の顔」となっていた。