黒板一家は孤立して生きていたわけではない。彼らの周囲を取り囲む麓郷の開拓者たちの存在なくして、この相関図は成り立たない。
地井武男が演じた中畑和夫は、五郎の無二の親友であり、現実的な地域社会の防波堤だった。理想ばかりを追う五郎を叱り飛ばし、資材を用立て、ときに厳しく現実に引き戻す。中畑木材の存在があったからこそ、五郎の無謀な暮らしは破綻を免れていた。妻・みずえ(清水まゆみ)が病に倒れた際の、地井武男の鬼気迫る号泣は、今なお日本のテレビドラマ史に残る名場面だ。
そして、岩城滉一演じる北村草太。五郎を慕い、純と螢にとっての「かっこいい兄貴」であり続けた男の存在は、富良野の影そのものだった。雪子への届かぬ思慕、農業への挫折、シンパシーと嫉妬。巨大トラクターの下敷きとなって命を落とすあの突然の悲劇は、過酷な北の大地で生きることの代償をあまりに無慈悲に突きつけた。