仏事の場には、何百年と受け継がれてきた宗教的禁忌(タブー)が存在します。悪意がなくても、無知によって仏前にふさわしくない品を持ち込んでしまうと、僧侶や親族に強い違和感を与えかねません。ここでは法事お供え物NGな品物の具体例と、ネット上で誤解されがちな盲点を徹底的に検証します。
まず、仏教全般において絶対に避けるべきとされるのが「生臭もの(しょうなまもの)」です。牛、豚、鶏などの肉類、魚介類、ハムやソーセージの加工肉ギフトは、仏教の根本理念である「不殺生戒(ふせっしょうかい)」に反するため、仏前に供えることは固く禁じられています。高級和牛ギフト券などのカタログギフトであっても、肉の写真を大々的にあしらったものは法事の場には適しません。
次に注意すべきは、「五辛(ごしん)」と呼ばれる匂いの強い野菜です。ニンニク、ニラ、ネギ、ラッキョウ、アサツキなどの刺激臭がある食材は、僧侶の修行を妨げ、清らかな本堂の空気を汚すとみなされるため供物としては不適切です。
また、お酒(日本酒やビール)についてネット上では「故人が好きだったからお酒をお供えしても問題ない」という言説が見られますが、これには宗派や寺院による大きな温度差があります。多くの仏教寺院では「不飲酒戒(ふおんじゅかい)」の戒律に基づき、アルコール類の本堂祭壇への供えを歓迎しない方針をとっています。どうしても故人の好物を捧げたい場合は、事前に寺院へ持ち込みの可否を確認するか、自宅の後飾り・仏壇に持ち帰って供えるのが賢明です。
花をお供えとして持参する場合も、鋭いトゲを持つバラ、毒性のある彼岸花やスイセン、花粉が落ちて内陣の仏具を汚すユリ、首から花がポロリと落ちて不吉とされる椿(ツバキ)はタブーとされています。寺院への供花は事前に住職へ一任するか、信頼できる生花店に「法要本堂用」と明示して手配を依頼してください。