インターネット上の情報を検索していると、しばしば「円谷プロの本社ビルを訪ねてみたが、見当たらなかった」という旅行者の困惑した投稿が見受けられます。ここに、知っておくべき決定的な事実があります。
円谷プロダクションの旧本社社屋(世田谷区砧7丁目)は、2005年に八幡山へ、そして現在は渋谷区等へと移転しており、かつて特撮史を紡いだ砧の木造社屋は現存していません。現地は現在、静かな住宅地として整備されており、当時の看板や建物を直接目撃することは不可能です。
しかし、ここで特筆すべきは「制作拠点が移転した後に、むしろ街との絆が強固になった」という点です。旧社屋が移転した2005年こそが、祖師谷の3商店街が結集して「ウルトラマン商店街」を発足させた年でした。会社としての機能が別の地へ移ろうとも、「円谷英二監督が怪獣たちを生み出した原点の街」という誇りを商店街の店主たちが継承し、ウルトラマンの意匠を街路灯やモニュメントとして恒久的に残す選択をしたのです。
この強固な地域連携は単なる版権ビジネスの枠組みを超えています。円谷プロ公認のもと、地域の子どもたちの見守り活動や防犯パトロール、季節のイベントにウルトラヒーローが駆けつけるなど、地域社会のアイデンティティとしてウルトラマンが深く根付いているのです。