日本の企業社会を長年縛り続けてきた不文律がある。日本ヘアカラー協会(JHCA)が策定したレベルスケールにおける「レベル7〜8」の制限、いわゆるオフィスのカラー規定だ。しかし、この数年で潮目は完全に変わった。
メガバンクや大手商社、通信インフラ各社が身だしなみ基準を「清潔感とプロフェッショナリズム」という本質的な文脈へ統合したことで、形式的な数値規制が名実ともに形骸化した。表参道で20年以上ハサミを握るベテラン美容師は語る。「以前は『職場で怒られないギリギリの暗さで』という注文ばかりでした。今は違います。『10トーンで品よく見せてほしい』と、役職を持つ40代、50代の女性や男性マネージャー層が屈託なく口にする。社会全体の肩の力が抜けたのを感じます」。